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ショック、韓国の経済対策も「誰に支給すべきか」が大問題に!1970年のように失敗します

3月30日、韓国政府は“緊急災難支援金”(以下、支援金)の支給を決定した。

まず支援金の概要をみてみよう。第一に支給対象である。支援金は世帯単位で支払われるが、全世帯が支給対象ではなく、世帯所得を基準として下位70%までが支援対象となる。つまり、上位30%については支給対象から外される。

第二に支給金額である。支給金額は世帯人数によって異なる。4人以上世帯は100万ウォン(2020年3月の平均為替レートで8.8万円)、3人世帯は80万ウォン(7.1万円)、2人世帯は60万ウォン(5.3万円)、単身世帯は40万ウォン(3.5万円)である。第三に支給形態は現金ではなく、地方自治体が活用している地域商品券、電子マネーなどの形で支給される。

韓国では、全世帯の70%といった広い範囲に支援を行うことは初めてである。韓国の財政は健全であるが、1970年代の積極的な財政投入の結果、1980年代前半には経常収支赤字の慢性化、ひいては外債危機に瀕した苦い経験があるため、財政拡大には消極的であった。

さらには今後の急激な高齢化で財政が悪化することは目に見えているため、ことさら大規模な経済対策には慎重である。その韓国にしては、かなり思い切った支給に踏み切ったといえる。ただし、支援金の中身を見ると詰めなければならない点が山積している。

今後詰めなければならない点で最大なものは、支援金の対象にするか否かを判断するための所得の定義をどのようにするかである。なかでもどの時点の所得を基準にするかが難しい。

もっとも現実的な案は昨年1年間の所得によって下位70%に入る世帯を特定していくことである。政府は税務データを利用することにより世帯所得を把握することが可能である。

しかし、昨年1年間の所得は新型コロナウィルス感染拡大前のものである。このデータを使うと、昨年の所得は高かったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受け、所得が激減した世帯が支援金の支給対象から除かれる可能性がある。

この点を考慮すれば、影響が出始めたと考えられる今年の2月以降の所得で判断することが望ましいのであるが、その把握は不可能といっても過言ではない。そもそも政府は毎月の所得を把握しているわけではない。給与所得の把握は可能性があるかもしれないが、事業所得の把握は無理であろう。

税務データが使えないとすれば、今年の2月と3月の所得を全世帯に回答してもらい、このデータから判断することが考えられるが、莫大な行政コストがかかるうえ、結果が出るまで時間がかかり迅速な支給ができなくなる。

そして根本的な問題は、自己申告なので正確な把握は難しいことであろう。本来であれば支援金を受け取ることのできない世帯が受け取り、受け取ることができたはずの世帯が受け取ることができないといった問題が必ず起こる。

昨年1年間の所得で支援金支給の有無を判断することがもっとも現実的であるが、この場合でも単純な所得によるか、財産も考慮するか詰めなければならない。

韓国では基礎生活保障(日本の生活保護)の対象になるか否かを、通常の所得だけでなく、不動産や自動車などの財産を一定のルールで所得換算して、これを加えたもので判断している。

また高齢者世帯に支給される基礎年金の支給対象選定にも財産の所得換算が行われている。基礎年金は65歳以上の高齢者の70%を所得の低い順から選び、最大で毎月30万ウォン(2.7万円)支給するものであり、保険料方式でなく税方式で運営されている。基礎年金を支給するか否かを判断する際にも資産を所得換算して実際の所得に加えている。よって韓国では財産の所得換算はポピュラーな手法である。

所得は低いが資産を多く所有する世帯もあり、公平性の観点からは資産も勘案した所得で支援金の支給世帯を選ぶべきであるが、現在のところはどうなるかは決まってない。

実際にどのぐらいの所得以下であれば支給対象になるのであろうか。マスコミ報道などでは、中位所得の150%程度が、全世帯の下位70%に入るか否かを分ける線になるとされている。中位所得とは、全世帯の所得の順番を並べてちょうど真ん中に位置する世帯の所得である。

国民基礎生活保障を運営する際に、この中位所得は重要であり、保健福祉部長官(日本の厚生労働大臣に相当)が毎年告示している。月額の中位所得の150%は、4人世帯で712万ウォン(62.8万円)、3人世帯で581万ウォン(51.2万円)、2人世帯で449万ウォン(39.6万円)、単身世帯で264万ウォン(23.2万円)である。ちなみにこの所得は税金や社会保障負担を控除する前の金額であり手取りではない。

4人世帯の月額中位所得の150%に単純に12をかけると8549万ウォン(753万円)となり、年収にすれば750万円程度が支援金支給の分かれ目になる。

支援金の支給は5月中旬ごろには行われる見込みであるが、それまでに詰めなければいけないことも多く、また実際の対象世帯の選定も大変な作業となることが予測される。政府は全世帯に支援金を支給したかったが財政の状況がこれを許さなかったと説明した。

しかし70%の世帯とはいささか中途半端であり、これなら思い切って全世帯に支給した方がシンプルで迅速な支給が可能である。また本当に財政状況が厳しいのであれば、もう少し支給世帯を絞り込んでもよかったとも思われる。いずれにせよ、70%の世帯に最大で100万ウォンの支給という方針は決まったが、実際の支給までには相当程度の手間と時間がかかりそうである。
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