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中国で売血、代理出産、卵子提供…ビジネス横行「報酬弾むよ」

新型コロナウイルスの感染拡大以降、経済停滞が続いた中国で違法性の高い代理出産や売血が相次いでいる。職を失った低所得者層が臨時収入を得るため、やむを得ず手を染めるケースも目立つ。横行ビジネスは中国社会のひずみを映し出している。

「卵子提供 10日で1万~5万元(約15万~75万円)」「代理出産15~25万元(約230万~380万円)」。中国で最初に新型コロナの感染が広がった湖北省武漢市。市中心部の公衆トイレの壁には、こんな誘い文句と携帯電話番号がいくつも記されていた。

「うちなら卵子提供に1万~5万元、代理出産に18万~22万元出すよ」。希望者の家族を装って電話すると、胡と名乗る女性が警戒しつつも説明してくれた。

証拠を残さないため全て現金払い

希望者はまず武漢市内で胡さんと面談。感染症の有無や健康状態のほか、外見、身長もチェックされる。「依頼者は不妊に悩む夫婦で、一部は卵子提供者や代理母の見た目にもこだわる。美人や高身長だと報酬額が高い」という。

代理出産の場合、条件が合えば依頼者夫婦の受精卵を代理母となる女性に移植。受精卵が着床すれば女性には月2千元(約3万円)の報酬が支払われる。妊娠3カ月目から月5千元(約7万5千円)、5カ月目以降は月1万元(約15万円)に増額。無事出産すれば残りの全額が支給される。証拠を残さないため全て現金払いだ。

入院先は依頼者の都合で上海市や広東省深セン市になることもある。「出産まで外出できないけど、病院は衛生的で、ジムも完備。何も心配しなくていい」

胡さんは医療関係者で、病院勤務の友人から誘われて仲介業者のグループに入った。月数千元の「基本給」があり、仲介に成功すれば1件当たり5千元超のボーナスがもらえるという。中国政府は医療機関や医療従事者が代理出産技術を使うことを禁じているが、胡さんが仲介した病院での代理出産は年数十件に上る。「ビジネスに失敗したり、マンションの支払いに行き詰まったりして連絡してくる代理出産希望者が多い。あんたもたくさん紹介してくれたら報酬を弾むよ」と屈託なく話した。

「献血者募集 400cc500元(約7500円)」

河北省から北京に出稼ぎに来た男性は6月初め、通信アプリ「微信(ウェイシン)」のグループチャットに投稿された求人情報に目を引かれた。「献血者募集 400cc500元(約7500円)」。献血と記されているが、事実上、売血の呼びかけだ。「コロナの影響で仕事がなく、あっても1日100~200元(約1500~3千円)しか稼げない。1回500元なら悪くない」と飛び付いた。

中国政府は血液の売買を禁じるが、医療現場では輸血用血液の不足が慢性化。このため患者が家族や友人に「互助献血」を頼み、自ら血液を確保することを推奨してきた。政府は2018年に互助献血制度を廃止し、幅広い献血確保に注力しているものの、新型コロナで手術が増えた今年は血液不足が深刻さを増す。

売血ブローカー「血頭(シュエトウ)」は、この状況に着目。ネットで募集した血液提供者に、患者の友人を装って献血させ、見返りとして患者に多額の報酬を要求する。取材に応じた北京在住の血頭は「血液提供者に400ccで500元払っても、患者には4倍の2千元(約3万円)で売れる」と明かす。

河北省出身の男性は自身の血液を売った後、違法なブローカーの一員として働き始めた。血液提供者を1人見つければ50元の仲介料をもらえる。毎日2、3人の希望者から連絡が入るが、ネットの募集投稿には自分の電話番号を載せなければならない。警察が怖くないか、と尋ねると男性は笑い飛ばした。「ブローカー組織はうちだけじゃなく、いくつもある。公的な病院や献血センターの内部にも仲間がいるのに、どうやったら警察に捕まるんだ?」

「臓器移植大国」と呼ばれる中国

ビジネスのうち、新型コロナで大きな影響を受けているのが臓器売買だ。「感染拡大で移植手術自体がしづらくなった」。四川省成都市に住む移植仲介業者の男性はぼやいた。

「臓器移植大国」と呼ばれる中国は毎年約1万件の移植手術を実施。18年の手術数は世界で2番目に多い2万件超に上った。外国人への移植は原則禁止されているが、他国より臓器提供者が見つかりやすいため、日本などから渡航する移植希望者は後を絶たない。

「中国国内の規制が厳しくなった17年以降も、大病院の医療スタッフを丸ごと、当局の目が届きにくい小規模病院へ連れて行き、外国人に移植手術をしてきた」と男性は打ち明ける。タイやカンボジアで施術する事例もあったという。費用は腎臓移植で最高200万元(約3千万円)。「香港や台湾のほか、欧米などからも依頼がある。中東の富豪は早く手術できれば金に糸目を付けない」。こうした違法な移植手術を年20~30件仲介してきたという。

「臓器提供に手を上げるのは金が欲しい人ばかり」

しかし、3月以降は新型コロナ対策の入国制限で、外国人の移植希望者は中国を訪れることすらできない。「国内は落ち着いてきたけど、海外の感染状況まだ深刻。コロナの影響は大きい」とため息を漏らした。

一方、中国人向けの移植手術は4月から再開した。男性は「臓器提供に手を上げるのは金が欲しい人ばかり。手術をするとなったら提供者はすぐに見つかる」と自信を示す。

ただ、臓器提供者が見つかりやすい環境には疑念もくすぶる。国際人権団体や海外メディアは「テロ対策」名目で収容施設に送られた少数民族ウイグル族が臓器提供を強いられている疑惑を指摘する。男性は「それは分からないが、提供者にはどんな民族もいる」とだけ答えた。

言論統制 メディアも告発できず

中国でビジネスが後を絶たないのはなぜか。現地の社会情勢に詳しい東京大大学院の阿古智子教授に聞いた。

-売血や臓器売買は以前から指摘されてきた。

「私が中国で現地調査した1990~2000年代は都市部が急成長する一方、農村部は発展の材料がなく、体一つで稼げる売血が一気に広まった。売血ブローカーが地方政府や病院と結びついて農民から安く血を買い上げ、4、5倍の値段で輸血の必要な患者に売りつけていた。新型コロナウイルスで経済が大変な今、再び出てきた印象だ」

「人の命に関わる臓器移植や代理出産も中国では大金が動く“おいしいビジネス”だ。いずれも背景には仲介業者と地方政府、病院関係者が癒着して利益を吸い上げる構図がある。臓器提供者や代理母になる庶民も、貧しいから仕方なくやる低所得者だけでなく、生活水準を向上させる手段と割り切る人もいる。拝金主義が行き過ぎてモラルが崩壊していると感じる」

-歯止めをかけるには?

「臓器移植や売血は90年代半ばから2000年代にかけて、政府が法規制や取り締まりを厳格化した。当時は中国メディアの一部記者が調査報道で問題を追及し、それを人権派弁護士や法学者が後押しする形で政府を動かした。ところが、言論統制が進んだ今は記者がこうした記事を書けず、弁護士や学者も問題を告発すれば処分される」

「中国政府は高性能監視システムの導入を進めるが、一般市民を締め付けるだけで権力者の監視には使わないため、行政と癒着した非合法ビジネスの摘発にはつながらない。法律も権力者にとって都合の悪い勢力を抑圧する道具になっている。権力者とその周辺は何をやっても捕まらないとなれば、市民のモラルはさらに低下する。まず官職に就く人が権力を乱用できないよう市民が監視できる仕組みを整える必要がある」
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