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ロシア極東で「反プーチン」デモが続く異例の事態 putin

 ロシア極東の主要都市ハバロフスク(人口約60万人)で、約4カ月にわたって反プーチン政権のデモが続く異例の事態となっている。7月にハバロフスク地方のフルガル知事(50)が治安当局に逮捕され、首都モスクワで収監されたことが発端だ。地元住民は「自分たちの代表が中央の専横によって奪われた」とみなし、プーチン大統領の築いた中央集権体制への反発を噴出させた。



■「反プーチン」に転化


ハバロフスク市中心部の地方政府庁舎前。デモ行進は毎週土曜日、ここを起点に行われてきた。独立系メディアの推計によると、知事逮捕直後の7月11日には2万5千人、18日には4万5千人が参加した。規模は縮小しつつも、抗議デモは今も続く。


「フルガルを返せ!」「モスクワはわれわれを放っておけ」。当初はこうした反中央のスローガンが目立ったが、デモが明白な「反プーチン」に転化するのに時間はかからなかった。



記者が現地を訪れた10月10日、デモ参加者らは「プーチンは人民に巣くうがんだ」「欧州は(対露)制裁を発動せよ」といったプラカードを掲げていた。反体制派指導者のナワリヌイ氏が毒殺未遂に遭った事件を意識してか「プーチンは全ての生ける者を殺す」とのスローガンまでみられた。


老若男女の約1千人が「ロシアに自由を!」などとシュプレヒコールを上げて市中心部を練り歩く。通りがかりの多数の乗用車がクラクションを鳴らして応援の意思表示をし、道路に面したアパートの窓からは多くの人が「頑張れ!」と手を振った。地元住民の支持こそが長期デモの原動力となっている。


「国内のテレビや(政権派の)新聞は、当局を怖がってデモを報じない。日本や世界にこの問題を伝えてほしい」。行進に参加した輸入業のステパンさん(57)は、記者にこう訴えた。



この日は拘束劇にも遭遇した。デモ隊が庁舎前の広場に戻ると、重装備の機動隊が参加者らに襲いかかり、地面に引き倒すなどして25人を連行した。拘束される女性の悲鳴に「警察は国民の敵だ」「恥を知れ」といった怒号が重なり、一帯は騒然となった。


もっとも、デモ参加者の本格的な拘束はこの日だけだった。政権側はデモにどう対処すべきか分からずに戸惑い、自然にデモの勢いが衰えるのを待っているように見える。


■くすぶる中央への反発


露極東にはもともとモスクワに対する冷ややかな感情や反発がくすぶってきた。1991年のソ連崩壊によってそれまで存在していた計画経済の連関が崩れ、極東が窮地に陥った経験が大きい。中央からの金や物の流れが途絶え、当時の極東はいわば「見捨てられた存在」となった。



極東各地の人々は生き延びるために近隣の地域や国に目を向けた。ウラジオストクは日本からの中古車輸入に、ハバロフスクやブラゴベシチェンスクは中国との交易に活路を見いだした。極東住民には、独自の「地域主義」により、90年代の危機をモスクワに頼ることなく切り抜けたという自負がある。


90年代は民主化が花開いた時期でもあり、住民らは地元の知事を直接選挙で選んだ。「当時の知事は完全に住民側を向いていたわけではないが、少なくとも地元は大切にした。住民にも自分こそが地域の主体だという意識があった」。ハバロフスクにある太平洋国立大のブリャヘル哲学・文化学部主任教授はこう語る。


2000年にプーチン氏が大統領に就いてからは状況が変わった。プーチン氏は04年に知事の直接選挙を廃止して任命制とするなど、中央集権体制の構築に邁進(まいしん)した。



モスクワでの大規模な反政権デモを受けて12年、知事選は反体制派を懐柔する目的で表面的に復活された。だが、出馬には制約が多く、大統領には知事の解任権があるなど、事実上の任命制に近い管理選挙が続いている。ロシアの選挙では、報道での露出度が高く、公務員や公営企業の従業員を投票に動員できる現職が圧倒的に有利だ。


■「民意無視」に憤り


こうした状況で18年、フルガル氏が政権与党「統一ロシア」の現職を破って知事選に当選する番狂わせが起きた。同じ時期、ウラジオストクを擁する沿海地方の知事選でも与党候補が大苦戦しており、政権の焦りは強かったとみられる。政権がこの年、財政難から年金支給年齢の引き上げを発表したことや、地域経済の低迷が逆風となった。


フルガル氏は元医師で、00年前後に極東での木材やくず鉄分野のビジネスで成功した。体制内野党の右派「自民党」の地方議員や下院議員を経て知事選に当選した。知事就任後は自身の給与を大幅にカットし、公費の無駄遣いに大胆に切り込む一方で貧困家庭の支援などを打ち出した。大衆迎合的な側面が指摘されつつも、地元で人気を博していたのは疑いない。



デモに参加した美容室経営のマディナさん(47)は「フルガルは私たちが選んだ知事だ。モスクワは民意を無視している」と憤った。前出のブリャヘル教授も「彼の逮捕が激しい反発を呼ぶのは必然だった」とみている。


フルガル氏は04~05年、ビジネス上の競合相手らに対する嘱託殺人を首謀した疑いをかけられている。当時の極東でのビジネスには概して企業乗っ取りなどの粗暴な不法行為が付き物で、同氏が実際に事件に関与している可能性は排除されない。


しかし、15年も前の事件を今になって蒸し返し、現職知事を逮捕するという治安機関の行動は、クレムリン(露大統領府)の承認なくしてはあり得ない。プーチン氏の名代として極東連邦管区の大統領全権代表を兼務するトルトネフ副首相が、フルガル氏との確執を深めていたとの見方も強い。



プーチン氏は逮捕を受けてフルガル氏を解任し、同じ自民党所属でクレムリンに近いデクチャリョフ氏を知事代行に任命した。だが、極東に全く縁のない同氏が任命されたことは、逆に地元住民の怒りを増幅させる結果となった。


モスクワなど西部の大都市部ではかねて反政権機運が強いとされ、間欠的に大規模デモが起きてきた。ハバロフスクでの前代未聞の抗議行動は、遠隔地にも火種がくすぶる現実をプーチン政権に突き付けた。


■情報封鎖にSNSで対抗


プーチン政権が最も恐れているのは、ハバロフスクのようなデモが他地域に波及し、広域で同時多発的に反政権運動が起きる事態だ。政権の統制下にある主要テレビ局や親政権の新聞社は当然ながら、ハバロフスクのデモについて黙殺を続ける。地元住民らは動画サイトのユーチューブやSNSを通じて情報を発信し、政権の情報封鎖に対抗している。


自営業のジルノフさん(60)は7月11日のデモ初日以降、デモの様子や参加者へのインタビューを撮影し、ユーチューブやフェイスブックなどに投稿してきた。投稿した動画は1千件超、ユーチューブチャンネルの登録者は1万8千人を超える。


治安当局ににらまれ、身柄を拘束されるようなリスクもあるが、ジルノフさんは「私はここで起きていることを伝えたいだけだ。何も恐れていない」と力を込める。その動画には、「あなたは真のジャーナリストだ」「ハバロフスク頑張れ!」といった激励のコメントが多数並ぶ。


折しも、ロシアの西隣に位置するベラルーシでは、大統領選の不正に抗議する大規模な抗議行動が約3カ月にわたって続き、独裁者のルカシェンコ大統領が窮地にある。ハバロフスクのデモでは、ベラルーシの抗議行動を支持するスローガンが聞かれることも多い。一時は小規模ながら、極東の他都市でハバロフスクに連帯を示すデモも行われた。政権は神経質にならざるを得ない。


独立系世論調査機関「レバダ・センター」が8月後半に露全土で行った調査によると、ハバロフスクのデモを肯定的にとらえている人が47%で、否定的と答えた人の3倍にのぼった。


ロシア極東 ロシアが17世紀以降の植民によって開拓した東方地域。極東連邦管区には、2018年に編入されたブリヤート共和国とザバイカル地方を含め、11の連邦構成体がある。面積ではロシアの約4割を占めるが、人口は約818万人にとどまる。東端のカムチャツカ地方では首都モスクワとの時差が9時間もある。極東地域の開発に手を焼くロシアは12年に極東発展省を新設し、19年には極東・北極発展省へと改組した。

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