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実妹の金与正「降格」の謎…金正恩体制に何が起きているのかkim

 金正恩体制に忍び寄る不安



米国のバイデン政権が1月20日に発足した。これに対し、北朝鮮国営メディアは沈黙を続けている。わずかに、北朝鮮関連サイト「朝鮮の今日」が23日付の記事で、韓国メディアを引用する形で、バイデン大統領の当選が確定した事実を伝えただけだ。


韓国統一省高官も25日の韓国記者団との懇談会で「北朝鮮メディアが直接言及していないこと自体が、ひとつのメッセージだ」と語った。韓国の情報機関・国家情報院の元幹部も「米朝関係を簡単に破壊できるほど、北朝鮮に余裕があるわけではないとみるべきだろう」と語った。北朝鮮の窮状ぶりは、1月に開かれた第8回朝鮮労働党大会と軍事パレードからもうかがえる。



党大会は1月5日から12日にかけて開かれた。金正恩党委員長は、新たに設けられた総書記のポストに就任し、新たな国家経済発展5ヵ年計画(2021~25年)の方針を決めた。14日夜には平壌で軍事パレードが行われ、新型の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)とみられる機体も登場した。


今回の党大会の目的は「金正恩体制の維持」にあったと言える。それは、10日に採択された、金正恩氏を総書記に推戴する決定書にはっきり出ている。決定書は、金正恩氏を「主体革命の卓越した指導者」「尊厳あるわが国家と人民の偉大な象徴、代表者」などと、過剰な表現で褒めちぎっている。



これは裏を返せば、金正恩氏とその周辺が、体制の維持に不安を感じているからに他ならない。北朝鮮の人々もバカではない。情報があまりない時代は、北朝鮮当局の宣伝扇動を純粋に信じた。しかし、建国から70年以上経っても、金日成主席が唱えた「絹の服を着て、瓦葺きの家に住み、コメのご飯と肉のスープを飲む」という生活は実現されていない。そんな生活ができるのは一部の特権階級に限られ、普通の人はせいぜい中国製の安い服を着て、窓ガラスも満足にはまっていない家に住み、雑穀の混じったご飯とキムチのスープで腹を満たしている。


金正恩氏も5日、党大会での報告で、2016年から2020年まで実施された国家経済発展5カ年戦略について「掲げた目標はほぼ全ての部門で途方もなく未達であった」と認めざるを得なかった。達成したと虚勢を張っても、600万台以上が流通している携帯電話社会となった北朝鮮のなかで、経済の失政を隠し通せるものではないからだ。



今回の党大会では、党中央検査委員会の権限を強化し、党に規律調査部と法務部を新設した。党政治局員には、軍の三大幹部である総政治局長、国防相、総参謀長のほか、秘密警察の国家保衛相、警察の社会安全相ら、軍・治安機関のトップが勢揃いした。社会の統制を強化する動きで、逆に言えば、それだけ社会不安が広がりつつあるということだろう。


なりふり構っていられない


14日の軍事パレードも興味深かった。北朝鮮の国営メディアによれば、登場した新兵器は「北極星5」と書かれた潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)とみられる機体程度だった。昨年10月のパレードで公開した北極星4も発射されていない。軍事的に考えれば、北極星5はSLBMではなく、北極星2のような固体燃料型地対地弾道ミサイルであるか、あるいは模型に過ぎないのかもしれない。こんな短い間隔で、しかも極寒のなかでパレードを行い、米国に「ラブコール」を送らざるを得ないほど、状況は逼迫している。パレードは、北朝鮮市民に団結を呼びかける必要に迫られた行事だったともいえる。



ただ、状況が切迫しているだけに、北朝鮮の動向には目が離せない。米国の関心を引くためにはなりふり構っていられないからだ。金正恩氏は党大会の報告で「弾頭の威力が世界を圧倒する新型戦術ミサイルと中長距離巡航ミサイルをはじめとする先端核戦術兵器も次々と開発することで、頼もしい軍事技術的強勢を堅持した」と語った。


14日のパレードには、片側5輪の移動発射台に搭載された弾道ミサイルとみられる機体が登場した。ロシアが開発した短距離弾道ミサイル「イスカンデル」に似た固体燃料型ミサイルKN23か、米軍の短距離弾道ミサイル「ATACMS」に似たKN24を改良して大型化した機体とみられる。本来の射程600kmを、日本も攻撃できる1000km以上に伸ばすことも可能だとする分析もある。


北朝鮮が、根本的な戦局の転換を狙うための戦略兵器だけではなく、個々の戦争局面での使用を想定した戦術兵器として核を使う恐れが高まっている。あるいは、日本や韓国を人質に取り、両国に核の傘を提供している米国に対して核軍縮交渉を呼びかける狙いがあるのかもしれない。



政情不安が、金正恩氏の権限強化につながっている。


金正恩氏も納得しているはず


そんななか、大会前に昇進がうわさされていた実妹、金与正党第1副部長が、政治局員候補から中央委員に、第1副部長から副部長にそれぞれ格下げとなった。金与正氏は前回党大会で党中央委員に選ばれ、2017年10月に党政治局員候補に昇進した。米朝協議の決裂を受けて一時期、同職から退いた時期があったが、今回の大会にも政治局員候補として参加していた。今回の党大会で選ばれた中央委員は138人、そのうちの政治局員・局員候補は計30人。与正氏の公式の地位は明らかに後退した。


なぜ、与正氏の地位は後退したのだろうか。まず、間違えてはいけないのは、与正氏は依然、金日成主席の血を引く「白頭山血統」の一員だということだ。



現在、金正恩氏が最高指導者の地位にいる根拠は、この血統しかない。今大会で改正された党規約序文には「金日成・金正日主義は主体思想に基づいて全一的に体系化された革命と建設の百科全書」とうたい上げられ、血統をより重視する雰囲気が強まっている。今回選ばれた党中央委員のなかで、白頭山血統は、金正恩氏と金与正氏の2人しかいない。統一省高官も25日の韓国記者団との懇談会で、金与正氏の実質的な権力に変化はないとの見方を示した。


そして、金正恩氏と金与正氏の兄妹は強い愛情と信頼で結ばれている。2人の母親、高英姫(コ・ヨンヒ)氏と金正日総書記は婚姻関係にあったが、金日成主席は結婚を認めず、面会もできなかった。公の場に出ることが難しいなか、いつも金正哲(キム・ジョンチョル)氏を加えた兄妹3人は一緒に暮らしていた。与正氏が不遇になることを正恩氏が望むわけがない。今回の与正氏の降格人事は、正恩氏も納得したうえで行われている。最高指導者が拒否する人事を実施することはできないのだ。



北朝鮮の独裁政治は時代とともに変化している。建国の父であり、祖国解放という金看板を背負った金日成主席の場合、1970年代までは経済が比較的好調だったこともあり、北朝鮮の人々に絶大な人気を誇った。一から国を作った金日成氏は全てを掌握しており、息子の金正日総書記が実権を握るまでは、金日成氏の意見が全てだった。


1994年に金日成氏が死亡し、金正日総書記が権力を継承した。もちろん、正日氏も独裁者だったが、ソ連・東欧の崩壊や大規模な災害が重なり、配給制度など北朝鮮の経済システムは崩壊した。正日氏は体制を維持するため、軍が全てに優先する先軍政治を導入した。


「ナンバー2」は、あってはならない


そして、金正恩時代に入り、この最高指導者と側近たちの共生関係は更に強まっている。側近たちにとっては、権力の正統性を主張できる「白頭山血統」が必要だ。金正恩氏も、自らの足りない経験と人脈を補ってくれる側近たちが必要だ。側近たちは常に、「金正恩氏のために」という論理で、自分たちに都合のよい主張を展開しようとする。


今回も、側近たちは金正恩氏に対して「金与正氏を降格させることが、正恩氏の地位を安定させ、体制を維持することにつながる」と説明しているはずだ。もちろん、与正氏の実質的な地位は変わらない。白頭山血統だからだ。


ここまではまず間違いない。ただ、「金与正氏の降格が体制の安定につながる」という結論に至った理由については、いくつかのケースが考えられる。


金日成主席のフランス語通訳を務めた高英煥(コ・ヨンファン)元国家安保戦略研究院副院長は「日米韓などで、金与正氏をナンバー2だ、後継者だと騒ぎ立てる報道があったからではないか」と語る。北朝鮮ではナンバー2はあってはならない存在なのだ。「最高指導者以外は皆平等」というのが北朝鮮のお題目であり、ナンバー2を目指すことはすなわち、最高指導者の地位を脅かす行為だと判断される。


たとえ金与正氏に愛する兄を害する気持ちはなくても、彼女がナンバー2だと考えられるようになれば人が集まってくる。今回も、金与正氏が望まなくても、公の地位を与えるだけで、自然と金正恩氏に対抗する勢力を育ててしまうかもしれないという判断があったという説だ。


幹部の不満が高まっている?


また、脱北した朝鮮労働党の元幹部は「男尊女卑の文化が根強く残るなか、口に出せなくても与正氏の振る舞いに眉をひそめている幹部はいる」と証言する。


金与正氏は目立ちたがり屋の性格でもあり、公の場に出るときは膝上のスカートを好んで着用する。金正恩氏がトランプ米大統領や文在寅韓国大統領らと会談した際には、合意文書の署名に立ち会ったり、花束贈呈式で花束を受け取ったりする役割を引き受け、積極的にカメラに収まるような振る舞いを見せた。


金正恩氏は党大会で経済政策と異なり、外交の失敗には言及しなかった。首脳会談という形式を取った以上、自らの責任問題になることを恐れたとみられるが、幹部たちには不満が残る可能性があった。最高指導者が責任を取れない以上、韓国や米国との交渉責任者だった与正氏を降格させることで、ガス抜きを図ったということかもしれない。


側近らが面と向かって与正氏を批判できないのは当然だが、こうした不満が広がることを抑えたほうが、体制の安定にプラスになるという判断を下したのではないかという説明だ。


そして、北朝鮮と欧米を行き来する別の関係者は「与正を金正恩のスペアとして温存しておく考えなのかもしれない」と語る。


金正恩氏が国家経済発展5ヵ年戦略の失敗を認めたように、北朝鮮経済は厳しい状態に置かれている。統制を強化せざるを得ないほど、体制維持への不安は強まっている。万が一、金正恩氏に失政の責任を追及する動きが始まる場合に備え、責任の少ない目立たない場所に避難させる動きではないかという分析だ。


金与正氏は政治局員候補から外れたことで、政治局会議には出席できなくなる。ただ、米国や韓国との関係では、「常務組(サンムジョ)」と呼ばれるタスクフォースのメンバーとしては残るだろうから、実質的な影響力はあまり変わらないというわけだ。実際、朝鮮中央通信によれば、与正氏は12日、韓国を非難する談話を発表した。国際社会で華やかなスポットライトを浴びてきた与正氏のメンツを立てるためもあっての報道だろう。同時に、労働新聞など国内向けメディアで報道しなかったのは、国内の分裂を誘発することを避けるためだったのかもしれない。


この3つの説のどれが正しいかはまだわからないし、あるいは複合的な要因なのかもしれない。しかし、すべての説に共通しているのは、金正恩体制が揺れており、その維持に必死になっているという現実だ。


北朝鮮は今回の党大会で「自力更生」を改めて唱え、持久戦に持ち込む構えを示したが、内心は不安でいっぱいというのが現実だろう。14日夜に行った軍事パレードは、制裁を少しでも緩和するため、一日でも早く交渉の場に就いてほしいという米国に向けた訴えだったのかもしれない。

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