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河野氏近く出馬表明、高市氏を安倍氏が支援…「お前と一緒に沈められねえだろ」声を荒らげた麻生氏aso

 菅首相の不出馬表明で構図が一変した自民党総裁選は、週明けから動きが本格化する。高市早苗・前総務相(60歳)は、安倍前首相の支援を取り付けて推薦人確保のめどがつき、出馬できる環境が整った。既に立候補表明している岸田文雄・前政調会長(64歳)や、出馬の意向を固めている河野太郎行政・規制改革相(58歳)のほか、石破茂・元幹事長(64歳)らも意欲を見せており、混戦となりそうだ。



総裁選は17日告示、29日投開票の日程で行われる。


高市氏は8月上旬に、出馬を目指す考えを表明。無派閥のため、出馬に必要な推薦人20人の確保が課題だった。安倍氏周辺によると、最大派閥・細田派(96人)に影響力を持つ安倍氏が高市氏を支援する意向を固め、細田派議員や竹下派幹部らに伝えている。細田派としての対応は決まっていないが、安倍氏は必要であれば、高市氏の推薦人確保で協力する構えだ。



高市氏は保守的な政治信条で知られ、安倍氏と近い。保守系の勉強会で細田派議員と行動を共にしており、同派議員が支持基盤の中核となりそうだ。今後、発信の機会を増やす。


岸田氏は4日、オンライン上で沖縄県議らとの「リモート対話」に臨み、「国民の声を聞き、政治の信頼を取り戻す」と訴えた。新型コロナウイルス禍で地方遊説は難しいため、オンラインを活用するほか、テレビ出演などの露出も増やし、党員・党友票の獲得につなげる戦略を描いている。



リモート対話に先立ち、岸田氏は読売テレビの番組で、コロナ禍での経済対策に関し「思い切って財政出動をしないといけない」と主張。財源には赤字国債を充てるとする一方、「消費税を触ることは考えていない」と語った。


河野氏は近く、出馬表明の記者会見を開く方針だ。4日は衆院議員会館で同僚議員らと対応を協議した。所属する麻生派(53人)には、河野氏と政策面で距離がある議員もいるため、河野氏周辺は「反発を減らすため、根回しは丁寧にやりたい」と話す。



石破氏はこの週末で、出馬するかどうかを熟考する考えだ。過去4回総裁選出馬を経験しており、周囲には「政策面での準備は整っている」と強調する。4日は東京都内で二階幹事長と面会した。総裁選を巡る情勢について話し合ったとみられる。



このほか、野田聖子・幹事長代行(61歳)も出馬に意欲を示している。


一方、「お前と一緒に沈められねえだろ」声を荒らげた麻生氏



2日夜。菅義偉首相は、自民党役員人事の一任を取り付けるため、麻生太郎副総理兼財務相と接触した。


同じ神奈川県選出で信頼する麻生派の河野太郎行政改革担当相を要職に起用できないか―。だが、麻生氏は声を荒らげた。「おまえと一緒に、河野の将来まで沈めるわけにいかねえだろ」


首相は説得を試みたが、麻生氏は最後まで首を縦に振らなかった。


もう1人、首相の後ろ盾である安倍晋三前首相にも党人事への協力を求めたが“三くだり半”を突き付けられた。首相が「孤立」した瞬間だった。



一夜明けた3日午前11時半、自民党本部8階。居並ぶ党幹部を前にした首相は静かに目を閉じた。事務方が用意した「党役員人事は6日に行う」という書類には目を落とさず、こう言葉を絞り出した。


「1年間、コロナ対策に全力を尽くしてきた。総裁選を戦うには相当のエネルギーを要する。総裁選は不出馬とし、コロナ対策を全うしたい」


3日午前11時20分ごろ、菅義偉首相は自民党役員会に出席するために訪れた党本部で、二階俊博幹事長に辞意を伝えた。



前日には総裁選出馬の意向を示していた菅氏の突然の変心。驚いた二階氏は慰留したが、首相は無言だった。


首相はこれに先立ち、官邸で麻生太郎副総理兼財務相にも面会。「しんどいです」。首相の気力はすでに失われていた。


新型コロナウイルス対策では「後手」批判を浴び続け、東京五輪の政権浮揚効果も不発。8月にあった地元の横浜市長選でも支援候補が「大敗」した。



党内には「首相のもとでは選挙は戦えない」という声が日増しに高まる。支持を期待する麻生氏も周囲に「このままだと、選挙は厳しいな」と漏らすようになった。


追い打ちを掛けたのが、9月の自民党総裁選で対抗馬になる岸田文雄前政調会長の「二階切り」を含む人事改革案。党内の中堅、若手から歓迎する声が上がり、総裁選の流れは岸田氏に傾き始めた。


焦りを募らせた首相や側近議員たちは、総裁選の先送りを模索。そこで浮上したのが、総裁選前に衆院解散し、与党勝利をもって党総裁選を乗り切る「9月中旬解散説」だ。



東京・赤坂の衆院議員宿舎で8月31日、首相は二階氏に既定路線とされた任期満了選挙に加え、9月中旬解散が選択肢にあることを伝達。二階氏は首相の判断に委ねると返答した。


だが、31日夜にこの話は漏れ伝わり、党内から「道連れ解散だ」「無理心中するつもりか」との批判が一気に広がった。麻生氏から9月解散説を知らされた安倍晋三前首相は、首相に電話で「総裁選はしっかりやるべきだ」と忠告。首相が重用している小泉進次郎環境相も「総裁選を先送りしたら首相も党も終わりです」と進言した。


翌1日朝、首相は官邸で「解散できる状況ではない」と表明。首相は「解散カード」を封じられた上、党内の信頼も同時に失った。


首相が、岸田氏の「二階切り」への対抗策として打ち出した人事刷新案もこの解散騒動で行き詰まる。


首相は安倍、麻生両氏と折り合いが悪い二階氏を幹事長から外すことで歓心を買い、さらに知名度の高い河野太郎行政改革担当相や小泉氏らを要職に起用することで刷新感を演出するはずだった。


だが、総裁任期まで1カ月を切る中での異例の人事案は「保身のためという狙いが透けて見える」(中堅議員)など、遠心力を招くばかり。麻生氏は河野氏に人事要請を受けないよう求め、安倍氏の出身派閥の細田派も距離を置き始めていた。


総裁選で菅氏が敗れることを想定すれば、菅氏の人事案に乗ることはリスクが高い。「誰も引き受け手はいない」(首相周辺)。無派閥で党内基盤のもろい首相に残された手は、もう残っていなかった。


二階氏は首相と面会した2日夜、派閥議員たちに「菅さんはやる気満々だ」との印象を伝えた。菅政権を支えてきた森山裕国対委員長も、菅氏が辞意表明する3日朝まで総裁選戦略や人事案などについて思案していた。


首相は3日、官邸で辞意の理由について「コロナ対策と総裁選は両立できない」と語った。だが、人事が見込みも立たず、孤立無援の末に1人で辞任を決めざる得なかったのが実情だ。


首相側近はテレビで首相の辞意を知り、こう嘆いた。「人事権も解散権も封じ込まれた総理総裁なんて見たことがない。最後は裸の王様だったよ」

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