NTTドコモは15日、主流の第4世代(4G)移動通信システムと高速大容量の5Gでつながりにくい状況が続いていた問題について、同日午前5時5分に全て回復したと発表した。「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話で使う3Gは、通信制限を続けているため一部で利用しづらい状況が続いており、復旧作業を急いでいる。
NTTドコモで14日、音声通話やデータ通信サービスが全国でつながりづらくなる障害が午後5時ごろから発生した。同社によると、この障害は約3時間後の同7時57分に復旧。ただ、その後も電話が混雑し、つながりにくい状態がしばらく続いた。影響は広範囲に及んでおり、電気通信事業法に基づく「重大な事故」にあたる可能性もある。
通信障害はドコモが手がけるオンライン専用プランの「ahamo」や、ドコモ回線を借りて事業を展開する格安携帯事業者の利用者にも及んだ。格安大手のIIJでは、ドコモと同じく午後5時ごろから携帯電話の音声通話やデータ通信などが利用しづらい状況になったという。
NTTドコモは、14日に発生した通信障害の原因が「ネットワーク工事の切り戻しに伴う信号量増大によるネットワーク輻輳(ふくそう)」と発表した。ここで言う「工事」は、同日未明から実施されていたIoT回線の工事のこと。工事が計画より長引き、元の状態に戻したところ、IoT機器から大量の信号が発生して輻輳につながった。
通信サービスにおける輻輳とは、アクセスが過度に集中する状態のこと。電話やデータ通信がつながりにくくなり、場合によってはネットワーク全体がダウンする状態になる。
14日未明から実施されていたメンテナンス工事は当初の計画より長引き、3Gローミングのパケットが利用しづらい状況や、「docomo IoT回線管理プラットフォーム」のWebポータル/API/SMS着信が利用できない状況に陥った。
これらの障害はすでに復旧済みだが、14日の17時19分時点では、在圏情報に変更がある端末において音声着信が利用できない状況や、3G/LTEの通信中呼、新規接続呼の一部において、パケット/音声/SMSがつながりにくい状況は継続している。
IoT回線の工事において、切り戻し(元に戻す作業)を実施したところ、IoT機器からの信号が増えた。その結果、輻輳が発生し、ドコモの通信サービスにおいて、音声通話やデータ通信がつながりにくくなった。つまりIoT回線の工事がスマートフォンユーザーの通信にも影響を与える格好となった。
同社ではネットワークのコントロールを実施。同日19時57分にネットワークのコントロールを解除し、工事の影響による輻輳からは回復した。
しかしコントロール解除によって、あらためて輻輳が発生してしまい、一部のユーザーで通信しづらい状態が続くことになった。
つながりにくくなった影響で、ドコモ・バイクシェアもあおりを受けてシェアサイクルが利用しづらい状況になった。またMVNOサービスにも影響が及んだ。SNSでは、「d払いが使えなかった」という声も寄せられ、通信障害の影響が広い範囲に及んだようだ。
総務省によると、通信障害の範囲が「3万人以上かつ1時間以上」になった場合などは、電気通信事業法上の「重大な事故」にあたる。これに該当する場合、事業者は総務省に詳細を報告する義務がある。
近年の重大事故では、2018年12月のソフトバンクの例がある。音声通話やデータ通信が利用できなかったり、利用しづらかったりする事象が発生し、約3千万人に影響が出た。交換機の設備の不具合が原因だった。
10月14日午後5時ごろから発生していたNTTドコモの通信障害について、同社は15日午後2時からオンライン記者会見を開くと発表した。会見には田村穂積副社長と小林宏ネットワーク本部長、引馬章裕サービス運営部長が出席予定。
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